翻訳者のプロ意識は、さまざまな要素から成り立っています。優れた翻訳者は、依頼者の希望に配慮しながら、期限を守り、質の高い仕事をします。翻訳者の中から優れた実力を持つ人を見極めるには、その人の専門家としての強みを確認することが大切です。
翻訳のプロには、どのような資質が求められるのでしょうか。まず、次のような点が挙げられます。
- 専門性。 翻訳対象の分野に関する深い知識が必要です。専門的な文章を難なく理解し、ネイティブスピーカーの専門的な話を聞き取れることも重要です。専門分野の学位や資格よりも、実際の仕事の成果こそが、実力を示す確かな指標となります。
- 選んだ分野での実務経験。正確で適切な翻訳をする力は、経験を積むことで身につきます。「何でも訳す」翻訳者と、特定の分野を専門とする翻訳者との間には、大きな違いがあります。何もかも知り尽くすことはできません。経験豊富なプロは、その業界の特性をよく理解しています。
- 高い語学力。 外国語だけでなく、母語の力も欠かせません。質の高い翻訳には、両方の言語で豊富な語彙を持ち、類義語や慣用表現、言い回しを使いこなす力が必要です。優れた翻訳者は、句読法や文体、文章構成の特徴にも精通しています。
- 分析的思考力と優れた記憶力。プロの翻訳者は、膨大な情報を処理します。情報を整理し、資料の内容を正確に把握し、課題を解決する最適な方法を見つける力が求められます。
- 学び続ける姿勢。教養ある人は、キャリアを通じて学び続け、仕事を終えた後もその姿勢を保ちます。知的な仕事は、幅広い知識や読書量、細かなニュアンスを感じ取る力に支えられています。向上心は技術を磨き、翻訳者を新たなプロフェッショナルの段階へと導きます。
- 翻訳対象の言語を話す人々の考え方や伝統への理解。この資質は、交渉の場に立ち会う通訳者にとりわけ重要です。文化や伝統は人の考え方に大きな影響を与え、話し方にも表れます。発言や文章の意図を理解するために、その国の歴史や人々の歩み、あるいは現在の社会状況を踏まえる必要があることもあります。
- 仕事に役立つツールを使いこなす力――解説辞典や正書法辞典、インターネット上の情報源、専門用語を扱う専門書などです。もちろん、プロが通訳の最中に辞書を引くことはありません。しかし、本物のプロは事前に打ち合わせや会議の準備をします。新しい単語や専門用語、耳慣れない言い回しに出会うこともあります。生きたコミュニケーション手段である言語は、常に発展し、変化しています。プロの翻訳者は、そうした変化を学び、自分の語彙に取り入れます。
- 一定の性格的特徴。ストレスへの強さ、体力、忍耐力が挙げられます。これは通訳者にも翻訳者にも当てはまります。大量の文章や高い作業密度は、この職業につきものです。仕事中、翻訳者は精神的にも肉体的にも負担を感じます。過重な負担を乗り越える力と、高い作業能力が求められます。
- 責任感と周囲への親しみやすい態度。 翻訳者は日々、依頼者や雇用主、編集者など、多くの人とやり取りします。それぞれに合わせた対応が必要になることも少なくありません。気さくで、オープンで、話しやすい人と仕事をするほうが、常に円滑に進みます。プロは依頼者に迷惑をかけたり、失礼な態度を取ったり、質問を無視したり、連絡を絶ったり、合意した納期を破ったりしません。約束を守り、依頼者に相談せずに料金や契約条件を変更することもありません。成功する人は、相手に好印象を与えます。
プロに求められる資質のすべてが、目に見えるわけではありません。翻訳者の実力を見極めるには、まず仕事の成果と、依頼者の満足度を確かめることが大切です。
優れた翻訳者は、自分の仕事を愛し、持てる力を創造的に発揮します。安心して任せられ、納期と翻訳の品質にも信頼を寄せることができます。